私が所属するGCDFで講演会があり、参加してきました。
キャリアカウンセラー資格継続のために、3年間で45時間の継続学習が
必要で、その一環です。
でも、今回参加したかったのはそのためだけではありません。
講演者は、
慶應義塾大学大学院の高橋俊介教授。
以前、
スローキャリアを読んで、
「キャリアに勝ち負けはない。あるのはキャリアによる幸せ、
不幸せだ」という考え方に衝撃を受けたので、ぜひ直接生の話を聴いてみたい、
とずっと思っていたのでした。
講演タイトルは
「ワークライフ再統合の時代」。
ワークライフバランスという言葉がだいぶ認知されてきたように
思いますが、「バランス」では足して100%になってしまうからダメ、
ワークとライフは分離するものではなく重なり合っているものだから
バランスを取るのではなく「統合(integration)」なんだそうです。
興味深い話がたくさんあったのですが、全部は書けないのでいくつか。
日本人は「楽しんではいけない」という幻想があるのではないか、という話には膝を打ちました。
例として
・ワーカホリズム(仕事をしていないと不安でしょうがない)
・朝5時に起きてキャラクター弁当を作る幼稚園ママの話
(すみません、幼稚園ママですがそんなことはしたことがない)
これは妻を「育児ホリズム」に追い込む反社会的行為
・目の前にいる人はカボチャ、大事なのは携帯でつながっている友人、
つながっていないと不安、でも1日50回以上のメール送信は負担、
という高校生の話
などが上がっていましたが、要は強迫観念に囚われていて、
本当にはそんなこと望んでいないのに不安だからせずにはいられない、
という状態に陥っている人々が多すぎるんですね。
若者の社会性の低下も携帯メールが原因で、対面で話をするということが
できなくなっている訳です。ちなみに青少年犯罪で、
激減しているものは 「カツアゲ」
初めて会った人と話さなくてはいけない、高度な社会的能力が必要
増えているのは 「ひったくり」
話さなくていいから!なんだそうで・・・^^;
会社でも、メールが普及したことで、電話だったらお客様に失礼な
ことを言っていたら周りが聞いていて注意できるけれど、メールで
失礼なことを書かれたら誰も分からない訳です。
この話は私も社内研修でよくしているので、非常に共感しました。
耳が痛かったのは、
「女性は偏狭なスペシャリスト志向になる傾向がある」(育休後に同じ職場に戻りたがる)と言う話。
目指すのはプロフェッショナルであるべきということでした。
私の場合は同じ職場には戻りたくなかったし、そうならなかったですが、
育休後に仕事そのものを続けていけるのかを不安に思っている女性が
とりあえずやり慣れた仕事に戻りたい、と思うのはリスクヘッジだと
私は思っています。
ただ、その仕事じゃなければ絶対にいや!という人もいるんだそうで、
それはさすがに「偏狭」と言われてしまうかな・・・。
仕事のみを重視する ⇒ 家庭は邪魔だと思う
家庭を重視する ⇒ 仕事が家庭の責務を果たせなくなる原因と考え、
離職につながる
(特に女性・・高学歴、高収入であっても)
という話もありましたが、これは大変うなずけます。
私の周りでも、「何でやめちゃうの〜もったいなさすぎる」と思える
女性たちが何人も、仕事をやめて専業主婦を選びました。
仕事もしたいし家庭も大事、だからどっちも捨てられない、と欲張って
きた私は、時には充実しながらも時にはどちらも中途半端な思いを抱え
悩んだことも数知れず。
でも、
「両方重要と考えることで、どちらも捨てられないからマネジメントが
うまくなる。どちらを選択するかという問題ではない」と言われた時には、「自分のしてきたことは間違ってなかった」と
思えました。
ずいぶん遠回りもしているし、いつになったら仕事にもっと力を
割けるんだろう、って思うことはありますが、とりあえず今は
仕事も家庭もどっちも何とか回っているからいいじゃないの、と。
最後にもうひとつ。
左脳だけを使うと、できない理由を論理的に言い訳するようになるし、
右脳だけを使うと、イメージだけで突っ走って部下を地獄に道連れにする、
一見熱い上司になる。
なので、
ワークとライフで、右脳と左脳の使用の隔たりを補正するように
するといいそうです。
左脳を使う仕事なら、プライベートでは右脳を使う趣味を持つ。
逆もまたしかり。
きりがないのでここまでにします。
むちゃくちゃ早口で話されるのでついていくのが大変でしたが、
ところどころ笑いも交えた、楽しいながらもためになる講演でした。