2007年05月04日

「安全なお産」って何だ?

4月に施行された改正医療法にて、「安全性の確保」を理由に、
助産所の開設要件が厳しくなりました。


これにより、年間1万人のお産が行われている助産所が、要件を
満たすための医療機関の嘱託先を確保できず、廃院に追い込まれる
ケースが増えそうだ、ということです。


また、先だってから報道されている、産科の廃止問題。
これも、例えば産科医の待遇を良くして人数を増やそう、という
方向ではなく、地域の基幹病院への産科の集約化、という方向に
進んでいるようです。


そして、福島の産科医逮捕事件(先月、第4回公判がありました)。
亡くなった方にはお気の毒だと思いますが、どんなに医学が発達しても
お産は決して100%安全ではなく、今でも「命がけ」であることは
間違いないんです。
その場で誠意を尽くしたものの救えなかった、しかしそのことで
医師個人を逮捕するのはいくら何でもやりすぎ、と当初から
思っています。
そして、この件で産科医の現場離れが一層加速していくであろうことは
素人であっても容易に考えつくことです。


国は一体何をしたいんだ?というクエスチョンマークが頭の中を
ずっと駆けめぐっています。
そりゃお産は安全に越したことはないですよ。誰だって、できるだけ
安全に産みたいですよ。


でもこの流れは、決して安全に産めるための流れになっていない、
とつくづく感じます。
むしろ、ちゃんと場所があれば安全に産める人まで、危険に落とし
入れていこうとしている、そんな印象があります。
どんどん産む場所が減っていく、ということに恐怖すら感じます。


だって、お腹に赤ちゃんが宿ったら、数ヶ月後には産まれちゃうんですよ?
ぐずぐずしていられないんです。
なのに産む場所は少なくなる一方。


地方では一番近い産院まで車で2時間とか、
妊娠3ヶ月で分娩予約をしないと予約が取れなくて
妊婦さんの間で競争になっているとか、


なんじゃそりゃ?って思うわけです。
後期になれば、2週に1回とか1週に1回とか、検診を受けないと
いけないんですよ。
いちいち往復4時間も車に揺られろと?
ちょっと心配なことが起こったら、すぐ近くの病院で診てもらいたいに
決まってるじゃないですか。
だいたい、その間に産気づいたらどうしてくれるっていうんですか。


そもそも、「正常なお産を正常にするためのプロセス」が、
安全に確保されなくなってきている、って言うこと自体を何とか
して欲しい。
これって、もう個々の施設や、医師個人ではどうしようもない
ところまで来てしまっていると思う。
燃え尽きて辞めていく医師が増えているのも、さもありなんだ。
国が法律を作ったのなら、それでも十分な施設を確保できるような
仕組みを作るのも国の仕事ではないのでしょうか?


こんな状態では、少子化はもっともっと進んでいくと思いますがね。
怖くて産めやしないから。
posted by nyoro at 00:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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