ビジネス書ばっかり読んでいると疲れてくる時期があり、
そういう時には小説ばかりを選んで立て続けに読むことがありますが
その中でも歴史小説は多いですね。
名前と関係を覚えにくいのが難点ですが、歴史にも詳しくなれるし。
最近読んだ中でヒットだった2冊について。
「和宮様御留」 有吉佐和子
母から借りた本なのですが、面白くて分厚い本を一気に読んで
しまいました。
これ、昔テレビで見たなあと思って母に
「これテレビでやったよね?斉藤由貴で」と言ったら
「違うわよ、大竹しのぶよ」と言われてしまいましたが、
調べてみたら2回テレビドラマ化されていて、それぞれ違うほうを
見ていたようです。
話は、徳川将軍へのお輿入れを嫌がった和宮のために、
下働きの少女を身代わりに仕立てたが、ところが・・・!
という内容です。
作者は、とある関係者から聞いた実話?を基にしてこの作品を
書き上げたそうですが、その話が本当だったらえらいこっちゃ!
私は幕末は疎いので、今歴史学会でどのように言われているのかは
存じませんが、こういうことが有り得たかも・・・と思って
ゾクゾクするのが歴史の楽しいところだと思います。
この作品では、宮様の日々の生活が具体的に描かれています。
お化粧の様子からお下の世話まで。
それも非常に興味をそそります。興味はそそりますが、これを読むと
「ぜーーーーったいこんな生活嫌ーーーーっ!!」
と思いますね。それくらい生々しく、不健康極まりないです(苦笑)
もうひとつ、美しいんだかうっとうしいんだか分からないのが、御所言葉。
でも言語学を専攻した身としては、彼女らの会話がとても興味深いです。
「あらしゃります」に始まって、
「まことにありがとうおめでとう存じ上げ参らせます」
「御するすると」 (順調に、のような意味)
「おひなっていただかされ」 (宮様を起こしてさしあげるとき)
などなど、この世界に思い切り浸れる言葉が満載です。
さて、もう一冊が、大友の皇子東下り。
大友皇子といえばそうです、壬申の乱に敗れて死んだとされている、
天智天皇(中大兄皇子)の息子ですね。
この作品は逃げる大友皇子と追う大海人皇子の双方の立場からを
描いています。
大海人皇子は中大兄皇子よりも実は年上だったと言う話は私もどこかで
聞いたことがありますが、この作品でははっきりと、
「大海人は皇極天皇の連れ子」と言っています。
それだけでなく、父方は半島の出でしかも忍者の一族、ということに
なっています。
もちろん大海人も忍者で、大化の改新で蘇我馬子を暗殺したのは
中大兄ではなく大海人だった、そのほかにも手を血で汚してきた、
という非常にダーティーな役割になっています。
かたや大友は愛する妃・十市皇女と別れて関東に逃避行を開始するの
ですが、死んだと思われているのは実は替え玉の百済人の若者で、
その後も百済人の若者たちが何人も覚悟の死を迎えます。
そしてあんなに別れを惜しんだ十市も、実は父・大海人の手先として
大友を殺そうとするのです。
そしてついに大友は大海人に追いつかれ・・・!
となるわけですが、なかなか息をつかせぬ展開となっています。
私はこの時代のことは天上の虹―持統天皇物語で勉強しましたので(笑)
どうもキャラクターもこの話に毒されていまして、あまりに違う人物像に
ちょっと戸惑ったりもしてしまいました。
が、作者が違えば解釈も違うのは当然のことで。
同じ歴史上の人物でも、本当のところはその時代に生きていた人しか
知らないわけですからね。
それをどう描くかが、これまた歴史小説の面白いところであります。
面白い歴史小説をご存知の方、教えてくださ〜い!