2008年04月28日

「バカな人事 なぜ御社の人事は社員のやる気を失わせるのか?」 中村 壽伸


バカな人事
なぜ御社の人事は社員のやる気を失わせるのか?


最近、部内で人事系の本があれこれと回覧されており、
私も次々と読んでいます。
人事系の部門に来たとはいえ、ほとんど教育関連なので、
人事全般についてもざっくりと知るところから・・・ということで。


この本を読んでみると、当社の人事にも当てはまることが
ざくざく出てきますが(苦笑)、人事ではない一社員として
自分だったらこうだなとか、人事がこういうことしたら嫌だよね、
とかそういうことを考えてみれば至極全うだと思われる
ことばかり。

人事が考えるべきこととその考え方の基礎的なところが
押さえてあり、人事用語のイロハも学べました。

*****

以下は自分用の覚書です。
結構長いので、読みたい方だけどうぞ。

*****

・人事とは、オリジナリティに溢れ、斬新で、奇抜で、
 社員たちがワクワクするエンターテインメント

・人事の目的・目標は
 「会社の業績を上げるために、社員一人ひとりの能力を最大限に
 向上・発揮させる」こと
 能力を引き上げる施策があることが、社員にとっての公平な人事
 それを実現するために等級、評価、賃金体系がある
 それをまとめたものが人事制度

・人事の根本にあるのは「社員を評価する」こと
 だから人事を考える上で大切なのは評価の方法
 評価とは、人を育てていくうえでの中間集計、振り返りのプロセス

・会社は当然成果主義でなければならない
 成果がなければ持続できないのが会社という存在

・成果主義において重要なのは、個人プレーに対する成果主義と
 チームプレーに対する成果主義をきちんと区別すること

・高いレベルの成果に挑戦して高い目標を設定する。
 たとえ目標には届かなかったとしても、そのことが高く評価される。
 それが正しい人事

・人の評価には、成果を見ての評価(業績評価)と、
 今後の活躍を見通して行う評価(アセスメント)の二つがある
 後者の場合、将来性を第一義に見なければならない
 この区別ができていないと、本当の意味で頑張っている人
 (成果を出せる人)が評価されない会社になり、社員がやる気を失う

・MBOのobjectivesは、欧州では「勝ち方」「作戦」という意味
 つまりMBOとは「戦って勝つための具体案を、自己管理で達成する」
 という意味

・コンピテンシーは本人の意欲の発露を抑える恐れがある
 「ハイパフォーマーの真似をすればマシになるかもよ」
 といわれているようなもの

・職務基準書(職種別に等級を設定し、必要とされるビジネススキルを
 書き出したもの)は社員を駄目にする定番
 ⇒設定項目が内向きで、枠にとらわれやすい・・・
   本来は枠を飛び出すような仕事をやってもらうべき
 ⇒マニュアル本の真似をしてその通りに作成している横並び意識 

・習熟度認定
 2等級でBを3年取れば3等級に昇格でき、しかもすぐにB評価がつく
 つまり、仕事の成果でなく、年齢や人物を評価している

・360度評価は本来「調査」
 Aさんが出した指令がちゃんと狙い通り伝わっているかを調査するもの
 日本での評価としての使い方は間違っている

・日本の会社の出世コース
  管理職としてマネジメント、役員へ
  技術のスペシャリストから役員へ
  管理職から営業のプロへ
 かつては必ず管理職を経験していたが、管理職を経ずにスペシャリストに
 なるシステムが作られている
 一般社員が多面評価によってリーダーを批判することさえ教えられている
 これは、リーダーシップをもつ人が減少していくことをさす
 ⇒一度は全員が管理職を目指すべき
  マネジメントの難しさを知ることが必要  
  それにより管理職への協力体制ができる

・「公平」ではなく「公正」な評価をしていないから、社員から不満が出る
 公平性は人事が失敗する大きな要因のひとつ

・公平な評価の考え方はふたつある
 1. 全社員に共通の基準を設定し、すべてその基準に沿って評価する
 2. 画一的な基準を設けるのではなく、個々の社員の事業への
   貢献度合いを社員一人ひとりによって異なる立場や事情を
   考慮して評価する
 正しいのは後者

・社内ではなく、同業他社の基準と当社の基準を比較するところから
 スタートすべき

・自分を評価する相手は社内ではなくお客様
 だから会社は「多くのお客様から高い評価を得るために」というところへ
 社員を先導する

・期末効果
 以前より直近の成果を重く見てしまう これはやってはいけない!
 ここから能力特性をよみとるべし

・人事制度は安定していてはいけない。1年に1回変更してもよいくらい
 全社共通の人事制度である必要はない 
 それぞれの強みを生かせる道を考える

・モチベーションは年齢に関わらず100%自己責任であり、
 自分自身でひきあげるもの

・会社という営利を追求する組織で働くかぎり、ビジネスマンは利益に
 つながるよう努力の仕方が的確でなければならないし、
 人に成功を教えられるようでなくてはならない

・社員は被害者ではなく、主体性を持った存在でなければならない
 「主体性のある社員」とは、「社長や上司に決めさせない社員」

・有能な管理職には三つのセンスが必要
 1. 経営センスを身に着けるのがうまい管理職
 2. 部下をひきつける、実行に駆り立てるのがうまいこと
 3. 部下を事業成果に執着させるのがうまいこと

・シニオリティ
 リストラは若い人や社歴の短い人から行っていき、年長者や
 社歴の長い人ほど大切にする方法。アメリカではこれが主流

・人事改革は、「どのように成功していきたいのか」
 最初に事業の成功要因と失敗要因を具体化して研究・分析する
 ことからスタートする必要がある。人事制度は後回しでよい

・労働分配率(%) = 人件費/付加価値  × 100
  会社全体で生み出した付加価値の中から、人件費として社員に
  どれだけ分配しているかを表した割合
  この数値が高いほど、会社の人件費負担が重い 

・人件費生産性(園) = 付加価値/人件費  × 1万円
  人件費1万円あたりの稼ぎ高
  
・定期昇給
 年次に応じて昇給することで、10年後には10年先輩と同額になる・・・を
 繰り返すこと 新人が入り、定年退職者が出るので社員の平均年齢が
 変わらない限り人件費の総額は増大しない(人件費の内転)
 人件費の内転を成功させるには、ベースアップをせず、採用と退職管理を
 しっかりと行い、社員数と平均年齢を維持、または低くすること
 ただしライバル会社よりも高い年収になるようにする

・ベースアップ(ベア)
 月例給与水準そのものを引き上げること
 会社の人件費負担を確実に増大させてしまう

・企業は会社間において先制攻撃を行わなければならない組織
 会社においては強い精神力と、結束力を強めるための教育が最重要
 強い人材を作り、強い管理職をつくり、強い組織を作っていかなければならない

・2-6-2の法則においては、ミドルパフォーマーを活性化することに
 力をそそがなくてはならない
 ミドル⇒ハイに上がる者も出てくるし、ハイパフォーマーが負けじとがんばるため
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2008年04月19日

歴史小説が好き!

突然ですが、私は歴史小説が好きです。
ビジネス書ばっかり読んでいると疲れてくる時期があり、
そういう時には小説ばかりを選んで立て続けに読むことがありますが
その中でも歴史小説は多いですね。
名前と関係を覚えにくいのが難点ですが、歴史にも詳しくなれるし。


最近読んだ中でヒットだった2冊について。


和宮様御留 
(1978年)
「和宮様御留」 有吉佐和子

母から借りた本なのですが、面白くて分厚い本を一気に読んで
しまいました。
これ、昔テレビで見たなあと思って母に
「これテレビでやったよね?斉藤由貴で」と言ったら
「違うわよ、大竹しのぶよ」と言われてしまいましたが、
調べてみたら2回テレビドラマ化されていて、それぞれ違うほうを
見ていたようです。


話は、徳川将軍へのお輿入れを嫌がった和宮のために、
下働きの少女を身代わりに仕立てたが、ところが・・・!
という内容です。
作者は、とある関係者から聞いた実話?を基にしてこの作品を
書き上げたそうですが、その話が本当だったらえらいこっちゃ!

私は幕末は疎いので、今歴史学会でどのように言われているのかは
存じませんが、こういうことが有り得たかも・・・と思って
ゾクゾクするのが歴史の楽しいところだと思います。


この作品では、宮様の日々の生活が具体的に描かれています。
お化粧の様子からお下の世話まで。
それも非常に興味をそそります。興味はそそりますが、これを読むと


「ぜーーーーったいこんな生活嫌ーーーーっ!!」


と思いますね。それくらい生々しく、不健康極まりないです(苦笑)



もうひとつ、美しいんだかうっとうしいんだか分からないのが、御所言葉
でも言語学を専攻した身としては、彼女らの会話がとても興味深いです。

「あらしゃります」に始まって、
「まことにありがとうおめでとう存じ上げ参らせます」
「御するすると」
 (順調に、のような意味)
「おひなっていただかされ」 (宮様を起こしてさしあげるとき)

などなど、この世界に思い切り浸れる言葉が満載です。



さて、もう一冊が、大友の皇子東下り


大友皇子といえばそうです、壬申の乱に敗れて死んだとされている、
天智天皇(中大兄皇子)の息子ですね。


この作品は逃げる大友皇子と追う大海人皇子の双方の立場からを
描いています。

大海人皇子は中大兄皇子よりも実は年上だったと言う話は私もどこかで
聞いたことがありますが、この作品でははっきりと、
「大海人は皇極天皇の連れ子」と言っています。
それだけでなく、父方は半島の出でしかも忍者の一族、ということに
なっています。

もちろん大海人も忍者で、大化の改新で蘇我馬子を暗殺したのは
中大兄ではなく大海人だった、そのほかにも手を血で汚してきた、
という非常にダーティーな役割になっています。


かたや大友は愛する妃・十市皇女と別れて関東に逃避行を開始するの
ですが、死んだと思われているのは実は替え玉の百済人の若者で、
その後も百済人の若者たちが何人も覚悟の死を迎えます。
そしてあんなに別れを惜しんだ十市も、実は父・大海人の手先として
大友を殺そうとするのです。
そしてついに大友は大海人に追いつかれ・・・!
となるわけですが、なかなか息をつかせぬ展開となっています。


私はこの時代のことは天上の虹―持統天皇物語で勉強しましたので(笑)
どうもキャラクターもこの話に毒されていまして、あまりに違う人物像に
ちょっと戸惑ったりもしてしまいました。

が、作者が違えば解釈も違うのは当然のことで。
同じ歴史上の人物でも、本当のところはその時代に生きていた人しか
知らないわけですからね。
それをどう描くかが、これまた歴史小説の面白いところであります。


面白い歴史小説をご存知の方、教えてくださ〜い!
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2008年03月31日

「ガウディの伝言」 外尾悦郎

ガウディの伝言 (光文社新書)

上司から「読む?」と言われて何気なく読み始めました。
が、次第に引き込まれていきました。


ガウディ、と言えば、言わずと知れたスペイン・バルセロナの
「サグラダ・ファミリア(聖家族教会)を設計した建築家です。
(時代としては、江戸末期〜昭和元年)
作者は、サグラダ・ファミリアの専任彫刻家です。
日本人がサグラダ・ファミリアの彫刻を作っているとは
思いもしませんでした。


著者は1978年に採用され、15体の天使像など、
たくさんの彫刻を手がけているそうです。
20トンの石を彫り続けていたら、中からハープを弾く天使が出てきた、
というくだりがありました。
仏師が仏を彫るときに「木から仏を取り出す」という表現を
聞いたことがありますが、それと共通するもの−「魂」があるように
思えてなりません。
その「魂」を取り出すことができるのがほんとうの「職人」なんでしょう。


100年以上かけてよいものをつくり、それが自分がいなくなった後も
ずっと生き続けていく。
ものづくりに関わる者としては、これが理想の形ではないでしょうか。



ソフトウェア製造に関わる立場でこの本を読んでしまうと
ソフトウェアは粗製乱造?という気がしてなりません。
(持ってせいぜい10年単位なものですし・・・)


それにしても、設計者自身が完成を見られないとは!
できるだけの材料を、引き継ぐ者に残したとはいえ、
さぞ心残りであったのではないかと思います。


しかも没後、スペイン内乱で破壊の憂き目にあってしまったり
時代の趨勢で引き継いだ建築家や職人が冷や飯を食わされたり。


自分ひとりでつくれるものではないから、残念ながらどうしても
こういった政治的な問題にひきずられることはあるとは思いますが、
それでも尚、生き残って今また建築・修復が続行されていると
いうこと自体に価値があるように思います。


職人に頼る工法から大型機械の導入へ、石からコンクリートへ、と
時代に逆らえない変化も起こっています。
それがいいのか悪いのかは作者も分からないけれど、
そうしなければ建設の中止もありえたということなのだから、
一見悪く見えるかもしれないことでも、多くの人の「創り続けたい」想い
あってこその判断の積み重ねだったのでしょう。


しかし、便利さは時に怠惰や傲慢を招くことにもなります。
方法は変わっても、根底に流れるもの、ガウディが目指したものは
失わないで欲しい
、と願ってやみません。


サグラダ・ファミリアは2020年代完成を目指しているそうです。
私はバルセロナを訪れたことがありますが、これらの建築物を
単なる観光地としてしか見ていませんでした。
なんてもったいないことをしたんだろうと思います。
キリスト教に対する知識もなく、建築に対する知識もなく、
当時のスペイン・カタルーニャ地方の歴史についても知らず。


2020年代なら自分が生きているうちに完成するのではないかと
希望が出てきたので、またバルセロナを訪れて今度は
ひとつひとつを意識しながら見て回りたいと思っています。
これからバルセロナに行かれる方は、ぜひこの本を読まれてから
ガウディの建築物をご覧になることをお勧めします。


最後に、心に残った一節を書きとめておきます。

「人が平穏に生きるというのは、
それだけで大変なこと」


異国の地で、30年にわたって仕事をしてきた方の言葉には
言外に隠された様々な事象を包含した重みがあります。
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2008年01月27日

「稼ぎ力」ルネッサンスプロジェクト 渋井真帆

「稼ぎ力」ルネッサンスプロジェクト 稼ぎ力養成講座Episode1 (稼ぎ力養成講座)


成功する人としない人の差は何か?
資格とか、語学とか、学歴とか・・・
そんなことではない”何か”。


それを、著者は

「稼ぎ力(かせぎぢから)」

と呼びます。



さらに正確に言うと、

「自分がこれまでの人生の中で蓄積してきた才能やスキル、
その他ヒト・モノ・カネ・情報・ノウハウ・アイディア・
発想などをモノやサービスという形で世の中に提供し、
それをお金という形に変える力」


という定義です。


この本は、自分の人生に焦ってばかりいた専業主婦の著者が、
銀行員の夫さんからのレクチャーを受けて、稼ぎ力を身につけ、
自分のやりたいことを明確にし、チャンスをつかんで
起業を果たす過程のさわりの部分について、書かれたものです。
夫さんとの会話形式で書かれていて、とても読みやすいです。


夫さんは、著者に「経営者人材になるためのトレーニング」
施します。


内容は、次の4つ。

・経営者人材としての視点

・経営者人材としての経済的分析力

・経営者人材としての経済的伝達力

・自分なりの仕事哲学




「経営者人材」というと、「別に私は経営者になるつもりはないし」
と思ってしまいそうですが、これは経営者になれと言うことではなく


「どこにいっても経営者になれる人」


になろう、ということです。



そして今著者は「女性を経営者人材に転換させて、
どんな環境変化にも負けない稼ぎ力を身につける」

スクールを開講し、半年待ちと言われるほどの人気セミナーを
開催しています。



自分には何かが足りない、その何かを得たい、
でもそれって何なんだろう?

そんな迷いの中で無駄な努力を重ねるよりも、まずこの一冊を
読むところから始めるといい、そう感じられる本でした。


私自身も、「数字」がすごく苦手で、数字を見た瞬間に
思考停止状態になってしまう状態なので、おそらくこのような
視点を身につけるべきなのでしょう。

まだ間に合うと信じて、勉強します。

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2007年12月24日

「シーラという子」「タイガーと呼ばれた子」 トリイ・ヘイデン

シーラという子―虐待されたある少女の物語 
「シーラという子―虐待されたある少女の物語」

タイガーと呼ばれた子―愛に飢えたある少女の物語 
「タイガーと呼ばれた子―愛に飢えたある少女の物語」

障害児教育の専門家である著者がシーラと言う女の子についての
記録として書いた本です。

「シーラという子」では、6歳でありながら年下の男の子を
焼き殺そうとした罪の咎で、精神病院のベッドが空くまでの条件で
著者のクラスに来た被虐待児シーラが、著者とのふれあいや教育に
よって開花していく様が書かれています。

「タイガーと呼ばれた子」は、その後7年後に再会したシーラの変化に
驚き翻弄される著者の姿を描いています。


日本でも、児童虐待、ワーキングプアなど様々な問題がありますが、
犠牲になるのはいつも子ども というところにやるせなさを感じます。

子どもは環境によって作られるのだ、
その環境を与えてやるのは大人の責任なのだ、

ということをつくづく思い知らされます。


であると同時に、子どもにそういう環境を与えてしまっている大人も
好きでそうしていると言うよりは、何かしらの問題を自分自身が
抱えていて、それを解決できないでいる
 からこそ結果的に子どもに
悪い影響を与えてしまっているのだ、ということも真実です。


教師や心理学者などは、彼らの抱えている問題に対して手助けしたり
診断したり治療したり、ということはできるかもしれません。
でも、家に帰したらまた同じことが待っている、と分かっていても
帰さざるを得ないのです。

よほどのことがなければ、家族の問題と言うのは家庭の中で解決の
主導権を持つもの
であり、なかなか他人は踏み込むことが難しいです。


また、家族は永続的に関係が存在するわけですが、他人がそこまで
長期にわたって関わり続けることも現実としては難しいです。


現在の日本では、児童虐待の通報義務が課されたり、児童相談所の
権限が強化されたりしてきてはいます。
少しずつ、社会の意識も変わり、表に出てこなかった児童虐待が
だんだん公に出て来やすくなっているのは進歩だとは思います。
(ほんの10年前には、「日本には性的虐待がない」と国際学会で
語った精神科医がいるというのですから驚きです)
でもまだまだ子どもたちを救えていないとも感じます。


私も人の子の親として、こういう問題は本当に人事ではないのですが
それでもよそ様のお子さんにいったい何ができるのだろう? と思うと
暗澹たる気持ちになります。


以前、近所のマンションで虐待と思しき子どもの泣き声と訴える声が
長時間続き、たまりかねて警察に通報したことがあります。

正直本当に虐待かどうかは分からないし、かなり迷ったのですが、
子どもの泣き声がこれだけの時間続くと言うこと自体がおかしい、と
いう思いが決心させました(結構勇気が要りました)。


結局どこの家か特定できなかったのですが、警察の方からは
「これからもこういうことがあったら110番してくださいね」
言っていただけたので、間違ったことはしなかったんだなと
思えました。
(他人でも虐待を発見した場合には通報義務があります)

家庭のことは家庭に任せるのが本来だとは思いますが、家庭そのものが
機能しなくなっている現代においては、ある種の「おせっかい」も
あえてする必要があるのかもしれません。


それはまたなかなか骨の折れることではありますが、自分ができること、
自分が今するべきだと思えることについては、物怖じせずにして
いきたいと思いました。
子どもを一人でも救うために。

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2007年12月11日

「斉藤さん」 小田ゆうあ

斉藤さん 1 (1) (オフィスユーコミックス)


最近あまり難しいことを考えられなくて本の紹介もしておりませんが
今日は今気に入っているマンガのご紹介です。
現在は3巻まで発売中。


斉藤さんは一児の母ですが、非常に強い正義感を持っていて
悪いことは悪い、おかしいことはおかしい、とはっきり言える人。

はっきり言い過ぎて暴力を振るわれてしまったりしても、
それであきらめるのではなく、護身術を習ってまで貫こうとする。
周囲からうっとうしがられて孤立することもあるけれど、
それでも貫こうとする。


「斉藤さん怖くないの?」と幼稚園の同級生のママに聞かれ、
彼女はこう答えます。


「怖いわよ。でもそのままおいとくほうがずっと怖いよ。
 悪いことを悪いと思えない人をほっとくほうが怖い。
 そんな人たちばっかの社会が自分の子どもの未来だなんて、怖い」



今、日和見な人が増えている中で、これだけはっきり言えるのは
すばらしい。
本当は自分も言いたい、でも勇気がない。危ない目に遭いたくない。
面倒なことに巻き込まれたくない。
私も含め、そう思って言えないでいる人は多いと思います。

でも、本当は言いたい。
その思いを、斉藤さんは代弁してくれているのだと感じます。


私も、一個人として、一社会人として、幼稚園児の母として、
血管がぶちきれそうな思いをすることもあります。
そういう時にわりと注意をしたりしていた時期がありましたが、
未熟ゆえうまく注意できなくて口論になってしまったりすることもあり
最近はあきらめてしまっていました。


でも、本当はおかしいことはおかしいと言いたいんだよなあ。
娘の未来のためにも、あきらめたくないんだよなあ。
うまく言えるようになりたいなあ。そう思います。


ちなみにドラマ化されるみたいですね。見てみようかな。

 
 
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2007年09月30日

「探そう、仕事の、歓びを。」 篠原欣子

探そう、仕事の、歓びを。


「世界最強の女性経営者」とも呼ばれる、テンプスタッフの
代表取締役社長、篠原欣子さんの著書。
今の私とそう変わらない年にテンプスタッフを立ち上げて34年、
大企業に成長させました。

女性がビジネスをするのが当たり前ではなかった1970年代に、
しかも日本ではまだ知られていなかった「人材派遣」という
ビジネスを手がけ、失敗もしながらここまで成長させてきた
その過程は、読んでいるだけで一緒になって胸が苦しくなりそうな
エピソードも満載です。

彼女と会社の成長の過程は、どんな会社でも多かれ少なかれあること
でしょう。
それをどういう想いや態度で乗り切るかという話が、非常に痛快でも
ありました。


彼女の成功の秘訣はというと、「休まない」「遅れない」
「前向きに」、それから「あきらめない」という、ごくごく当たり前
のことなんだそうです。
最近体調を崩しがちで、体調管理の重要性をひしひしと感じている
ところなので、改めて自戒しました。



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2007年09月26日

「夢に日付を!〜夢実現の手帳術〜」 渡邉美樹

最近、このブログの書評を参考に実際に購入されたり、読んだ感想を
伝えて下さる方がいらして嬉しい私です。
もっと書評を書きたい本はたくさんあるのですが、追いついてないのが
もどかしい限り。
なるべく色々とご紹介できるようがんばります!
いい本がありましたらご紹介いただけると嬉しいです。

夢に日付を! 
~夢実現の手帳術~

いわずとしれた、「ワタミ」の代表取締役社長渡邉美樹さん。
この本も今更私がご紹介するまでもないと思いますが、
最近「期限を設定する」ということの重要性を身にしみて感じることが
多いので、やはり書いておこうかと思いました。

目標を立てて、それを実現するための行動を年、月、週、日などの
単位に落としていく・・・というやり方を推奨している手帳は結構
多いように思います。
フランクリンプランナーしかり、e-womanのアクションプランナーしかり。

この本でも、そういった方法について書いてあるところは同じですが、
私が「なるほど〜」と思ったのは、


「夢が決まっていないなら、夢を決める期限を設定する」


というくだりです。
夢を実現する日を決めろといわれても、夢が決まっていなければ
実現のしようがない・・・と考えてしまうのが普通ですよね。

しかし!
だったらいつ夢を決めるんでしょう?
毎日怠惰に過ごしていれば、そのうち天啓のように夢が降ってくる・・・
訳がないんです。


やっぱり、自分で毎日色々なことにアンテナを張り巡らせて
いろんなことに引っかかるようにして、興味を持つ対象を増やして、
臆せず色々な場所に飛び出して色々な人に会って、


ということをやっていくことで、自分はどういうものに惹かれるのか、
自分はどういう方向に行きたいのか、ということが分かるように
なってくるのだと思います。


その過程で、「無駄」や「面倒」を嫌ってはいけないのです。
人に声をかけて、断られることを怖がってはいけないのです。
イチローでさえ、10割打者ではありません。



私自身も、自分の方向性に迷っていた時にあるセミナーに参加して
みたことから、世界が広がり今につながっています。
それは、自分の夢を決めるための行動だったと言えます。


「自分の夢って何だろう?」という方、
まずその夢が何なのかを見つける日を決めてみませんか?
そして、その日に向かって行動を起こしませんか?

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2007年09月15日

「会社でチャンスをつかむ人が実行している本当のルール」 福沢恵子 勝間和代

会社でチャンスをつかむ人が実行している本当のルール

ジャーナリストの福沢恵子さんと、経済評論家の勝間和代さんの共著です。
この本は、「キャリアアップをめざしながらも、なかなかチャンスに
恵まれない女性」
を読者ターゲットに想定して書かれています。
(むろん、それ以外の方にも参考になります)


会社には「ホンネとタテマエ」があり、「タテマエ」を信じて行動して
いると、うまくいかないことが多々ありますよね。
例えば、こんな場面です。


・男性だったら正論だと思っていてもあえて言わないのに、
 女性はわざわざぶちかまして逆に顰蹙を買ってしまう時がある。

・男性はメンターやロールモデルとなりうる先輩がたくさんいるのに、
 絶対数が少ない女性はそういった対象が物理的に見つけられず、
 どう振舞うべきか悩んでも相談できる相手がいなかったりする。

・男性の中に女性一人だけのプロジェクトで、同じ仕事をしているのに
 何だか自分だけが蚊帳の外に置かれているような気がして仕方がない。



こんなケース、珍しくないと思うんですよね。
そういう、「誰も面と向かっては教えてくれない」ホンネとは何なのか」
というところを、15の例で解説してくれています。
私自身、「あ、これもやっちゃってる・・・これも、これも」の連続で、
目からウロコが100枚くらい落ちました。


こういう時に、
意識的に周囲の状況を読み解く努力をする
ことと、このような本で、
男性社会のルールを学ぶ
ことによって、ビジネスの場でうまく渡っていけるようになるということです。


面白いなあと思ったのが、
「男性は子どものころからのチームスポーツでルールを学んで
いく。女性はチームスポーツにかかわることをそれほど奨励されず、
それが成長してビジネスの場において男性との大きな差につながる」

というくだりです。

スポーツ嫌いの男性も、チームスポーツが好きな女性もいますので、
必ず当てはまる訳ではないかもしれませんが、体育会系の人が就職活動で
よい成績を残すということと整合性がとれている主張のように思います。

会社組織において、うまくやっていきたいのに苦労している方、必読です!



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2007年08月18日

「夕凪の街 桜の国」 こうの史代

夕凪の街桜の国

ちょうど今映画が上映されているので、そちらをご覧になった方も
いらっしゃるかと思います。私も観てきました。
会場の客層は高齢者が多いように思いましたが、私はこの作品は
若い人にもっと知ってもらいたいと思います。


原作は漫画です。広島の原爆がテーマです。
数年前に「薄い本だけど、中身がものすごく濃い」という話を聞いて
本屋さんに行きました。
手にとってみると、本当に薄い。正直これで800円は高いのでは?と
一瞬思ったほどです。
でも、読んでみると800円では安すぎると思えるほどの衝撃がありました。


「誰かに死ねばいいと思われた」ことと、生き残った罪悪感。
家族が次々と原爆症(と思われる原因)で死んでいく辛さ。
何年、何十年もたってから発症してしまう残酷な運命。
そして、現代でもなお偏見にさらされている被爆二世、三世。

登場人物のさまざまな想いが伝わってきます。
こんな想いがあるのか。私は知らなかったし、想像力もなかった。


決して、声高に反戦を謳っているわけではありません。
絵柄もほのぼのとしています。でもその中に、実は強いメッセージが
こめられています。


決して、「しょうがなかった」ことなんかではない。


こういう現実を知らないということそのものが罪なのではないかと感じます。
少なくとも私は、知らないままでいるよりも知ってよかったと思っています。

そしてこの本は、一度読んだだけでは分からなくても、何度も読み返すうちに
分かってくることも沢山あります。味わい深い物語です。


映画のほうは、若干ニュアンスが違うように感じた面もありますが、
こちらも被爆者の方々が描かれた絵を使っていたり、映画ならではの
画像や音声で訴えてくるものがありました。
こちらもお勧めします。


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2007年08月15日

「となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術」 関根眞一 

となりのクレーマー―「苦情を言う人」との交渉術 (中公新書ラクレ 244)

西武百貨店でお客様相談室長等をされていた経験からの、「クレーマー」
とのやりとりの経験談とその対応、教訓などがまとめられた本です。
事例が豊富で、かつ読みやすいです。

商売をしていれば、クレームはつきもの。
しかし、対応を誤ると会社の評判自体を落としたり、あるいはその筋の
人たちに知られて次々とカモにされてしまう可能性があるというのは
怖いものです。
頭を下げるだけでなく、相手が何を要求しているのかを察して駆け引きし、
時には顧客に向かって大声で怒鳴ることもする。
まさに真剣勝負です。

正直、「こんなクレームつけてくる人いるんだ〜」と、クレームの内容
自体にびっくりしたりもしました。
私自身は不満があってもそのままその店や会社から離れるだけなのですが、
クレームをつける人というのはエネルギーがあるんだなあと思います。

本当にその店なり会社をよくしようと思ってのクレームもあるんでしょうが
大半は単に欲求不満を解消するためなんじゃないかなという気もします。
そういう場合はたいてい匿名だというし。

格差社会の底辺にいる人から見ると、百貨店の店員はエリートに見えて、
そのこと自体が気に入らないということもあるのだ、という記述も。
自分の存在自体が気に入らないと言われてしまったら、どうしようも
ないですよねえ・・・。


もちろん、
「普通のクレームを挙げてきた顧客をクレーマー扱いしないように」
ということもきちんと釘を刺しています。
「クレームは宝の山」だとも。


商売に限らず、近隣関係や学校関係などでも、今や普通の人が
いつクレーマーになるか分からない時代でもあります。

一般人も、クレームに対する対応というものを学んでおかないと、
ささいなことがきっかけで誰かとトラブルにならないとも限らない。
この本は、その入門書として適していると思います。



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2007年07月30日

「個性を捨てろ!型にはまれ!」 三田紀房

個性を捨てろ!型にはまれ!


大人気コミック「ドラゴン桜」の作者が書いたビジネス書、です。

この人は、「ドラゴン桜」を書く時も計算ずくで書いたそうで
非常に卓越したビジネスの勘を持っているようです。
(直接会っていないので、いろいろなところで語られている作者像から
推測するしかないのですが)


まずタイトルが挑発的ですよね。
個性だのオンリーワンだの言われているこのご時世に、いったい何が
書いてあるんだろう?と興味を持って読みました。


いやあもう、膝を打ちまくりました。


最近は、自分勝手やわがままを個性と勘違いしている輩が多いですが、作者はばっさり。

「基本もできていないうちから個性もあったもんじゃない」

そして、本当に個性を身に着けたいのなら、まず先人たちの知恵や手法に
したがって(つまり、型にはまって)努力したほうが早い、と言っています。

いろいろなビジネス書で、「一から試行錯誤するよりも、先人のやり方を
真似したほうが早い」ということは言われていますが、それを
「型にはまれ」という表現にしたところが面白い!


そもそも日本人は、華道や茶道、剣道柔道合気道、と「型を極める」
ことは得意な民族のはず。
だったら、

徹底的に型にはまろう! 
そして型を覚えたその後で、型を破ればいい!



この順番が重要なんだな、と思いました。


普通のことを普通にできる、ということがまずは肝心。
それができないのに、それ以上のことなんてできるわけがない。
一足飛びではなく、一つ一つ普通のことをこなしていくうちに、
個性は自然とでてくるものだ。


文章も平易なので、若い人にぜひ読んでみてもらいたいですね。
自分とは?個性とは?と悩んでいる人には、よい指南書になると思います。
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2007年07月20日

「新幹線ガール」 徳渕真利子

新幹線ガール


私は学生時代、ウェイトレスや売り子のバイトを結構やりました。
自分の空き時間と、勤務時間の都合が合いやすかったから、というのが理由で、
好きか嫌いかというと実はあんまり好きではなかったんですね。
だから結構嫌々やっていた部分もあったし、決して評価も良くなかったような。
でもアルバイトだから時給もらえればいいや、なんて根性でした。

甘ったれてますよねー。
まったく、そんな昔の自分にこの本を読ませてやりたかった。


彼女のことは、朝日新聞で取り上げられたときに知りました。
でも弱冠22歳とは・・・!
最近は確かテレビドラマになってましたよね(見られませんでしたが)。


ホテルに就職したものの辞めてしまい、半ばひきこもりになっていた時に
この「新幹線パーサー」という仕事を知ってアルバイトを始めた彼女。
正社員になって知ったのは、売り上げが平均の3倍で堂々トップ!という事実。


時間も不規則、体力勝負でありながら人柄も大事というこの仕事。
アルバイトでも厳しい研修、身だしなみも厳しく要求される。
生半可な気分じゃ勤められない仕事だと思います。


「お客様に一人でも多く会いたい」というその気持ち。
この人は本当に、接客が好きなんだなあと感じます。
つくづく過去の自分はプロじゃなかったよなあ・・・と反省しきり。


この本を読み終わって間もなく、娘の幼稚園で納涼祭があり、
ベビーカステラの売り子をやったのですが、この本の影響か、
なんだか今までになくサービス精神にあふれた接客ができたような
気がします(気のせい?)。


新幹線パーサーという仕事の裏側についても知ることができたのが面白かったです。
自分はまずつかないだろうと思われる、他の職業について知るって楽しいものですね。

今度新幹線に乗ったら、パーサーさんたちをまじまじと観察してしまいそうです。





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2007年07月11日

「千円札は拾うな。」 安田佳生

千円札は拾うな。


ちょっと出遅れましたがやっと読みました。
タイトルの意味は、「千円札を拾うと目線が下がり、ほかのものが
見えなくなるから」だから拾うな、ということだそうです。


このタイトルからして、ちょっとしたショックを受けたのですが、
表紙を開いてみると、今度は
「常識とは、18歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう」
というアインシュタインの言葉。


さらに本文を読んでみると、かなり目から鱗が落ちました。


この本では、「捨てる」ということを強調しています。


成長とは変化すること。

変化するとは、何かを捨てること。

成長とは積み上げることではなく、古いものを捨て、新しい方法を生み出すこと。



そして、そのためには「常識外」という、常識と非常識の間にある、
未知の可能性に目を向けることが大事だと言っています。


今までの人生で手に入れたものを捨てるのには、勇気が要ります。
それが、苦労して手に入れたものならなおさら。


しかし、時と場合によっては、それにしがみつくことが成長を阻んでいる
可能性もあるのです。
そして、視野を狭く持っていると、それに気づかない。


私は、捨てるべきなのにしがみついている何かはないだろうか?
としばし自問・・・


さらには。
この変化の激しい時代において、勤勉の反対は怠惰ではなく不変


ただ今までどおり、がむしゃらに頑張るだけでは給料は増えない。
頭を使い、効率のよいやり方を考えて成果を上げ、自由な時間を作り出す。
これが、勤勉ということ。


ほかにも、「ほおおーー!」と感嘆してしまう言葉の数々。
とても全部は挙げ切れませんが、根底に流れている

「人生を快適に楽しく生きる」

というポリシーがあって、それを実現するためにはこうすればいいのだ、
というつながりに納得させられました。


「成功するには毎日夜中まで働かないとだめだ!」なんて言われると
「え〜、何かそれって違うんじゃ?別の方法もあるんじゃないの?」と
反発を感じてしまう私ですが、この本の考え方は腑に落ちます・・・。


捨てよう。本当は必要ないものを。
自分の中にしぶとく根を下ろしている「常識」という偏見を。
そして身軽になって、さらに成長しよう!そして楽しく快適に生きよう。




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「私の夫はマサイ戦士」 永松真紀

私の夫はマサイ戦士


いまや日本人は世界中のどこにもいるけれど、
マサイを夫に持っている人というのは稀有な存在だろう。

海外旅行や短期滞在で「この国は好き/嫌い」と判断してしまうのはたやすい。
しかし、大抵の場合はその国をちゃんと知った上で判断しているとは言えない。


プロ添乗員である彼女は何度もケニアに滞在し、マタトゥという乗り合いタクシーを
経営する中でケニアの裏社会をまざまざと経験したり、現地の男性との出会いと別れ、
それに伴って大変な思いを味わったり、という、決していいことばかりではない
経験の中で、それでも確かに自分はケニアが好きだと言う気持ちを持つようになる。


そしてマサイの成人式「エウノト」で出会った夫、ジャクソン。
結婚するまでも、普通の日本人カップルのように、デートを重ねて
愛を深めてきたわけではない。
ジャクソンいわく、「神が決めた。血がそうさせた」。そんな結婚。


ケニアを取り巻く環境が急速に変わっていく中、マサイだけが今までのまま
いられるわけではない。
しかし、伝統を守っていこうとしつつも新しいものを取り入れようとする
彼らにとって、永松氏は必要な存在になりつつある。


単なる個人の結びつきを超えた、それこそ「神が決めた」絆がそこに
あるのを感じられる。
彼女も、価値観や習慣の違いには戸惑い、悩んではいるが、確実に夫との
信頼をはぐくんでいる。その経過が見て取れる。


私自身、ワールド・ビジョン・ジャパンでケニアの女の子を支援しており、
ケニアに対する興味はそこそこあった。
しかし、この本を読んで、その興味はとても浅いものであることが分かった。
私の想像を越えた世界がそこにはあり、それはさらに興味をかきたてるもので
あることを、この一冊の本を通して知ることができた。
自分の知らない文化への新たな興味を喚起してくれたこの本に、
感謝せずにはいられない。


いつか、彼女の企画するスタディツアーに参加してみたいと思っている。
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2007年05月29日

「考具―考えるための道具、持っていますか?」 加藤昌治

考具―考えるための道具、持っていますか?


会社の社内研修で、「この中から一冊選んでお持ち下さい」と言われて
もらったのがこの本。
たまたま直前に、とあるメルマガでこの本について紹介されていて
「おっ」と思っていたので、迷わず手に取りました。


著者は博報堂の、いわゆる企画屋さん。アイデア勝負のお仕事ですね。
この本では考えるための道具「考具」を紹介してくれています。

決して入社当初からアイデアが色々出ていたわけではなく、色々と
工夫してアイデアが出るようになったとのことで、
「アイデアマンになるかどうかは後天的なもの」と言うのが持論。
アイデアが出るかどうかは「意識しているかどうかの一点」とも。


アイデアの定義は、以前ご紹介したこの本にある、
「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」
というものが一番「使える」と書いています。


それから、「アイデア」と「企画」は別物で、まずアイデアを「拡げて」、
そこから「絞って」企画に収束させる、というのが手順。
アイデアを拡げる時は、フィジビリティとかを考えず拡げまくり、
企画にするには詳細をつめて実現可能なものにしなくてはならない。


個人的に試してみたいなと思った考具は「マンダラート」ですね。
マインドマップも本を読んでやってみたりしているのですが、
イマイチうまく書けないので、後から見てもあまり整理されている
感じがしないんですよ。セミナーにでも行けばいいのかもしれませんが。


マンダラートは縦3マス×横3マスの真ん中にテーマを書き、周囲に
アイデアを書いていくというもの。私はこっちの方がすんなりできそう。


他にもカラーバス、オズボーンのチェックリスト等、楽しみながら
できそうな考具がいっぱい。
色々試してみて、自分の使いやすい考具を見つけたいですね。


おまけ。
面白いな〜と思ったのは、一枚の紙が挟まっていて、
「立ち読みしてくれたアナタ、ありがとう!(中略)どうせなら
ここを立ち読みしてから、この本をレジに連れて行ってくれるかどうかを、
ぜひ決めて下さい!」
とあり、その下にこんな人は何ページを、あんな人は何ページを、と
5パターンくらい書いてあるんです。

そして裏には、
「この本には「質疑応答の時間」があります。」として、FAX番号と
メルアドが書いてあるんですね。
そこに質問を送ると、考具web!で答えてくれるそうです。


これこそ、アイデアマンならではですよね。
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2007年05月28日

「リクルートのDNA −起業家精神とは何か」 江副浩正

リクルートのDNA―起業家精神とは何か


リクルートと言えば、長らく私の中では「リクルート事件」や
「リクルートルック」などのイメージしかありませんでした。
しかし最近、リクルート関連の方に出会う機会が増えていて、
そんなタイミングでこの本を見つけたため、興味を持って手にとりました。


いや、私は本当にこの会社のことは何一つ知らなかったんだなあ、
というのがまず正直な感想。
思っていたよりもずっと歴史があるということも。


安比高原スキー場をリクルートが作ったことも、初めて知りました。
ちょうどアルベールビル五輪でノルディック団体複合が優勝した時
安比グランドに泊まって、「おめでとう 三ヶ田礼一選手」という
横断幕を見たんですよね(遠い目)。


端から見ているだけだとイメージだけで捉えてしまいがちなことも、
こうして創業者の言葉で語られていると、その「想い」が伝わってきますね。
仕事に対する姿勢なども、参考になる点が多々ありました。
posted by nyoro at 22:02| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月20日

「リッツ・カールトン20の秘密―一枚のカード(クレド)に込められた成功の法則」 井上 富紀子 リコ・ドゥブランク

リッツ・カールトン20の秘密―一枚のカード(クレド)に込められた成功の法則


リッツ・カールトンのホスピタリティが特別なものだという話や、
従業員が必ず持ち歩く「クレド」という、リッツ・カールトンの理念や使命、
サービス哲学が書かれたカードのことは、私も聞いたことがありました。
でも、あまり詳しいことは知りませんでした。

この本は、世界中のリッツ・カールトンを制覇した井上富紀子さんと、
ザ・リッツ・カールトン東京総支配人のリコ・ドゥブランク氏の共著です。
井上さんが、世界中のリッツ・カールトンで受けたもてなしの数々を語り、
ドゥブランク氏がその理由や理念などを語っています。


数々のエピソードは、こんな風に扱われたらさぞや嬉しいだろうな、
と思えるものです。
ただ、これだけ泊まっている人だから?という気がしたのも確か。

でも、初めて泊まられたお客様に対しても、何を望んでいるか、
どんな好みを持っているか、などニーズをサーチして、それに
添うように誠意を尽くしている、とのこと。


仕事上、権限よりも責任が重い立場の私としては、従業員が各自
エンパワーメント(権限委譲)を持っている、という話はうらやましく
感じました。

一人一日2000ドルの決裁権も持っているそうで、例えばお客様に
チケットのプレゼントをしたりすることが、自分の判断で許されている、
ということになります。
だからこそ、従業員の方々は、お客様を喜ばせようとあれやこれやの
手を考え出すのでしょう。
アイデアがあっても先立つものがなければどうしようもない時って
ありますものね。


どんな仕事をしている人でも、相手がいる仕事であれば(普通は
そうだと思いますが)、このホスピタリティ精神は参考になると思います。


ちなみに、今回驚くべきなのは、この本が献本されたものだということ。
そうです、もらったんです。
「書評ブログを書いている人か、1000人以上の読者がいるメルマガ
発行者であれば献本します」というキャンペーン?をしていて、
こんなブログでもいいのかなと思いつつ申し込んでみたら、
2日後には届いていました。

しかも、書評を載せることに対して強制するような言葉もなく、
「紹介する意義があると判断されましたら」という程度。


ここに、リッツ・カールトン精神を垣間見た様な気がしました。
(これを企画したのがホテルなのか出版社なのかは存じませんが)


これは、行ってみたくなりますねー。
宿泊料金は一番安い部屋でも7万円近くするらしいですから、おいそれとは
行かれませんが、ここに泊まれるようになることを目標にしよう!
posted by nyoro at 23:20| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月02日

本屋のオヤジのおせっかい

今朝の朝日新聞を読んで、嬉しくなりました。
「あの本屋さん、またやってる!!」


「あの本屋さん」とは、札幌のくすみ書房さん。


以前、「中学生はこれを読め!」というタイトルで、中学生に
おすすめの本500点を並べたフェアをやっていることを知りました。
中学生があまりに本を読まない・・・しかし考えてみれば、
自分の本屋には中学生向けの棚がないではないか!と気づき、
中学生に本の面白さを知って欲しいという思いで始めたとのこと。


そして今回は、「本屋のオヤジのおせっかい 君たちを守りたい」
というタイトルで、いじめに苦しんでいる中高生に読んで欲しい本を
集めてフェアを始めたそうです。
トーハンも後押しし、全国約200の書店にこのフェアが広がっているとも。


いじめに苦しんでいる子どもは、自分の味方になってくれる人を
必死に求めています。
そんな子ども達を、両手を広げて受け止めてくれているかのよう。


一冊の本は、絶望の淵にいた人を明るい世界へ連れ出してくれる
こともあります。
そんな本に、彼らがここで出会えるといい。
本を読むことで、自分の世界を築いていじめを乗り越える力を
身につけてくれるといい。

かつていじめにあった一人として、そう願ってやみません。
posted by nyoro at 23:38| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月23日

最近読んだ本あれこれ

最近本のレビューが少ない・・・と思われている方がいらっしゃるか
どうかは定かではありませんが、まあそれなりに読んでいます。
一冊一冊について詳細なレビューを書く気にならなかっただけ、
なんですね。

なので、ちょっと簡単にではありますが、最近読んだ本を
まとめてご紹介。

どこかで誰かが見ていてくれる―日本一の斬られ役 福本清三 
「どこかで誰かが見ていてくれる―日本一の斬られ役」 福本清三
東映大部屋俳優の福本清三さんの口述記。
ちょい役でも、多くを望まず地道に工夫を重ねてひたすら邁進していく
姿勢に、自分の我慢の足りなさを思い知らされます。
「ラスト・サムライ」に出演された時は感動しました。


あなたに成功をもたらす人生の選択
「あなたに成功をもたらす人生の選択」 オグ・マンディーノ
いかにもアメリカ的な話かなあという気はしましたが、主人公が
一番愛する家族のために行う様々な選択に、強い意志を持つことの
大切さを考えました。


幸せな宝地図であなたの夢がかなう―きっと! 今日から人生が変わる
「幸せな宝地図であなたの夢がかなう―きっと! 今日から人生が変わる」
望月 俊孝

「目標を紙に書いて貼って毎日眺めると叶う」とよく言いますが、
それのビジュアル版、といったところでしょうか。
写真や絵などを使うことによって視覚的に捉えられる点はいいですね。
やってみようと思いつつ、材料を集めるのに手間取って止まってます・・・


「原因」と「結果」の法則
「原因」と「結果」の法則」 ジェームズ・アレン
100年前に書かれて未だに売れ続けているという事実が、
本当に大事なこと、本質的なことは変わらないのだということの
証明になっていると思います。
迷った時にパラパラとめくってめについたところを読むだけでも
ひとつひとつの言葉が胸にしみます。


特攻基地知覧 高木俊朗
知覧の特攻平和会館に行ったことがありますが、「一度死んでみるべえ」
などと書かれた色紙や、少年兵たちの写真に胸が詰まりました。
この本を読んで、皆が皆、お国のために覚悟を持って体当たり
していったわけではない、と言うことが分かり、彼らも生身の人間
だったんだと身にしみて感じられました。


セルフコーチングに追われて他の記事がおろそかになっている・・・
つもりはないですが、何だかそんな気分になっている今日この頃。
なるべくアンテナはあちこちに張り巡らしたいと思っています。
posted by nyoro at 23:39| Comment(2) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする